世界市場を本気で攻めようとしていて実力のある起業家をお探しのVCのみなさん、朗報です!アパレル×ITで世界に打って出る起業家がついに今年、現れました。
株式会社TO NINE(TO NINE INC.)を創業した増田 智士さん。実は彼とは大学時代からの知り合いなんですが、「将来起業するならコイツなら成功するだろうな〜」って思っていた数少ないうちのTOP3に入る1人だったんですね。
増田さんはアパレル専門学校のTOPである文化服装学院を卒業し、アパレルウェブで文字通り地べたから上り詰め(そこの話も面白いのでまた機会があれば書きたいと思いますが)、満を持して独立し今年6月に彼が構想し既に実行段階に入っているビジネスは、「本当に海外で戦えるブランド製品をどんどん作って、世界で爆発的に売る」ということです。先日クラウドファンディングサイトMakuakeで500万円以上を集めたKnotのサポートを足がかりとし、世界と戦えるブランドを次々と企画、開発中です。
そんな増田さんと株式会社TO NINEについてお話を伺いました。
ー 増田さんと最初に出会ったのはいつくらいでしたっけ?卒業後ずっと前職の会社で働かれてたんですよね。
僕が社会人なりたてのころにお会いしたので、20歳ですね。前職ではPhotoshop作業とか雑務からスタートして マーケティングチームを作ってノウハウを会社に蓄積して、営業したり、コンサルしたり、マネージメントしたりと一通り経験させていただき、8年在籍しました。
ー 比較的1つの会社に長くいらっしゃったと思うんですけど、独立のきっかけは何だったんでしょうか?
僕はアパレルとネットしか見てないので、そこで何が出来るのかってずっと考えていて、20代前半から起業するって決めて仕事をこなしてきました。「日本のファッションを世界へ」という部分は前職の会社のビジョンでもあったんですけど、日本のブランドで世界に通じるブランドがそもそもどれくらいあるんだっけ?という疑問が湧いて。世界の市場で戦えるブランドってそんなにたくさんのあるかなと思ったのがきっかけとしては大きかったです。
調べてみると市場がやっぱり日本と世界とは違うんですよね。例えば海外10カ国を周って各国のショッピングモールにどんなブランドがあるか、どんな店舗が入っているか調べてみると、どこに行ってもプレイヤーが決まっているんですよ。ファストファッション系(安い価格帯のもの)、もしくはラグジュアリー。日本の市場を見ると中間価格帯のブランドが厚い。そんな国ってほとんど無いんですよね。中間価格帯の市場が大きいのは先進国。アジアとかだとそもそもマーケットがあまり無い。日本はモノ作りに関して品質が高いという世界共通の認識があり、実際に素晴らしい商品も多い。海外で戦えない理由には様々な要因があると思いますが、僕は単純に「売り方」がフィットできていないのかなと考えています。
なので、自分自身が世界で売っていこうと考えるのであれば、モノづくり、流通、売り方まですべて関わっていかなければ無責任になると思い、独立して自分で作り手に会いに行ったりだとか、ブランディングってどうやったらいいんだろうっていうのを考えながら模索しています。
ー で、その問題意識のもとで取り組んだ第一弾のknot は先日Makuakeで500万を達成し話題になりましたよね。
はい。Knotがまさしくその第一弾の試みです。
ー あれって実際どういう立ち位置で取り組んでいるんですか?
戦略パートナーという立ち位置で取り組ませていただいています。Knotの遠藤社長は長年時計業界に関わっている方で時計業界の見識が大変深い。それとインターネットを中心とした売り方のノウハウをもっている弊社の強みを組み合わせて事業を成長させていこう、というのが基本的なスタンスです。
ー 確かにクオリティー考えるとめちゃくちゃ安いですよね?
時計業界では初となるSPAモデルで製造から販売まで一貫してやっているため、中間業社も通しませんし、ネットを中心なので低価格で提供できています。あと付加価値の領域で言えばベルトの組み替えが出来るのが付加価値ですね。
ー あれ、めっちゃ組み替えやすいですよね!最初聞いた時はSwatchとかみたいなのを想像してたんだけど、もっと全然交換しやすかったね!超楽!
セルフで出来るっていうのは良いですよね。プロダクトについては遠藤さんの長年培われたセンスと知識が全面に反映されていますからね。
ー プロモーションの方はどうやって企画されたんでしょうか?全体の絵は増田さんが描いたんですよね?
僕らがやることはそのストーリーを表現する事。それはビジュアルだったりサイトの見せ方だったり、プロモーションの仕方だったり。Knotというブランドをどうやってお客様に伝えるか、そのお客様はどこにいるのか、どうやってリーチするのか、単体ではなく全体でストーリーを組みます。
例えば写真で言えば、他の時計ブランドとはアプローチが全然違います。なぜならKnotは時計でコーディネートを楽しむブランドです。
であればコーディネートをいかにカッコよく見せられるかがポイントだったりします。時計ブランドなのにあまり時計を見せていないという今までのセオリーとは真逆ですね。
時計メインじゃないですけど、カッコ良さや楽しさって伝わると思うんですよ。今まではどっちかというと「時計の細部が〜〜」とか「ベルトは〜〜」とか。それはそれで付加価値なんですが、僕たちにしか出来ない切り口を考えたら、せっかくベルトも換えられるわけだしコーディネートを楽しめるんだよ、っていう提案をしたかったんですね。スタイリングと撮影にはだいぶ苦労しましたが(笑)
ー 確かにこんな感じなのは初めて見るかもしれないです。新鮮ですよね。
日本のブランドって「ギーク」なものはすごく強いと思うんですけど、直感で「カッコイイ」という部分は苦手なように思います。
もっとカッコ良く表現できたら、それだけでも世界が拡がると思います。
ー Makuakeでのプロジェクト、スゴかったですね。
クラウドファンディングは資金調達の場としても魅力的ですが、何よりあの場はストーリーに共感してくれる顧客にストーリーを伝えられる場であるということが一番の魅力だと思います。
ー ここまで成功したきっかけは?
最初が大事なんで、知り合いに個別に連絡したりですとか、業界紙さんとかネットメディアさんにプレスリリースをお願いしたり、かなりアナログなことも泥臭くやりました。おかげさまで様々な媒体に結講取り上げて頂いて、最初の6日間で当初目標の100万円達成しました。
ー そんなに早かったの!
はい。それでまたプレスリリースを流せるので、ネタがあるたびにお願いししました。これが功を奏してかは分かりませんが、多数のメディア掲載に繋がりました。
ー 最終的に500万円以上行きましたよね。日本のクラウドファンディングでは圧倒的な成功の部類ですよね。
そう思います。やっぱりメディアの力はスゴかったです。300万円くらいまでは自力で行けたかもしれませんが、それ以上になるとメディアの力が大きかったです。
ー ヒカリエでもポップアップストアを出しましたよね。反響はどうでした?
手にとって見たいというお客様も多いと思いますし、やはり店舗は商売する上で重要な要素の一つかと思います。おかげさまで多くの新規顧客様の獲得につながりました。買うとなると皆さん組み合わせが多い分、迷われてましたね。ただ傾向としてその場で買わなかったお客様もチラシだけ持って帰って、家でゆっくり検討してから買うっていう流れも多かったようです。まさにO2Oの流れ。
ー Knotについては戦略パートナーということなんですが、他のプロジェクトも動かれているんでしょうか?
はい、他にも同時にいくつかのプロジェクトを動かしていますし、パートナー企業や作り手の方々とともに0からつくりだしていくプロジェクトを増やしていきたいと思っています。
ー 最初から世界展開を考えているんですか?
そうですね、もちろんプロジェクトにもよりますし、さすがにパートナーに無理強いはしませんが、やはり世界展開は常に視野にいれて取り組みたいと考えています。
ー 今後やっていくのは商品ラインナップを増やして行くことなんでしょうか?
ブランドを増やし続けるっていうのが本質的なことではあるんですけど、全てをブランディングしていくって無茶苦茶大変だと思うんですよ。それを全部当てろなんて言うのはもっと難しい。なので工場発の商品をとりそろえたモールを展開したいと考えています。良い商品をつくれる工場と、ウェブでの売り方を熟知している弊社が手を取り合うことで大きなシナジーが生まれると考えています。
ー なるほど、ということは今やっていることはその最終目標からするとブランディングや海外展開のテスト的な役割にもなっているわけですね。これから実現しようとしていることは、いろいろ相当ハードルあるんでしょうけど、増田さんの中で、何が一番実現のために問題なんでしょうか?
工場を回っていて感じているのが、彼らは本業でかなり忙しい。いかに空き時間を作らないように効率的にやるかをとことん突き詰めているので、なにか新しいことをやろうにも、なかなか時間がないというのが一番悩ましいところですね。
何か新しいことをやりたいと思っていらっしゃる作り手も多いですし、僕らが一緒に考えて、形にして、ブランディングしてPRすることができればかなり現実的になると思っています。
なので今は、工場や作り手側が面白がってくれるような実績を作ることに専念ですね。
ー 数ヶ月前に話した時より圧倒的に進んでてビックリしました!今日はありがとうございました!
まとめ
本当にしっかりと市場を見定めてこれだ!と思って進められるスタートアップは少ない中で、突き抜けてひたすら進んでいるタイプの起業家だと思います。ぜひメーカーの方、VCの方もしご興味ある方がいらっしゃいましたらお繋ぎ致しますので僕のFacebookの方にご連絡下さい。