ハローウィーンが近いということで、スタートアップでハローウィーンっぽいネタを探していたところ、MattermarkのCEO/共同創業者のDanielle Morrillさんが書いたシリコンバレーに存在するという「ゾンビVC」について書いた話が面白かったのでDanielle Morrillさんに許可取った上で超訳してみました。
@yuichikory sure!
— Danielle Morrill (@DanielleMorrill) 2015, 10月 16
———————ここから超訳———————-
ゾンビ・VCたち
私は、シリコンバレーの投資家たちと投資家事情に精通してる起業家たちが「知っているが、言わないこと」をここに書こうと思っている。
「知っているが、言わないこと」というのは、ゾンビスタートアップがあるのと同様に、ゾンビVCというものが存在し、スタートアップ界隈を徘徊しているという事実である。
VCファームを立ち上げて3〜5年くらいでまだ「素晴らしい」と言える結果が出ておらず、新しいファンドのための調達に奔走しているVCにしばしば見られる。この手のファームは新しい投資案件を実際には手がけておらず、その代わり、残っている投資資金を既存の投資先に追加投資することを選んでいる。が、新規案件のミーティングはちょくちょくアポを入れていたりする。
あなたがシリーズA調達している時に、どうやったらあなたが話している相手が 「ゾンビVC」かどうか判断できるか?
ゾンビたちはあなたの元にNOといわれにくそうな人としてすごくイイ奴を送り込んできて、「あなたは資金調達に向けて順調に進んでますよ〜(わたしたちはあなたの投資に投資しようとしていますよ〜)」と感じさせるような態度をとってくるが、実際には時間の無駄である。
ゾンビをどこかに追いやってくれる仲間があなたにいなければ、 ゾンビのサインを見逃さないように自分で注意して、そしてあなたの時間を死守して、無慈悲に愛想の良いゾンビを撃退しなければいけない。あなたはVCとのミーティングに友達を作りにきているのではなく、資金の調達にきているのだから。
★こんなVCはゾンビだ!な4つのチェックシート。
- 過去6ヶ月でシリーズA投資を行っていない
- 過去3ヶ月で既存投資先以外に投資を行っていない
- 過去3ヶ月で全く投資を行っていない(特に過去いいペースで投資していたのと比べて全然投資してない)
- 「最近アーリーステージじゃなくてレイターステージでの投資にフォーカスしているんだよね」、とか「今は既存のファンドは投資終えてて、新しいファンドを作ろうとしてるんだ」と言っている
もしあなたがミーティングの途中で「こ・・・こいつ、ゾンビや!ゾンビやでぇ!」と気づいてしまったら「うおー、このゾンビ撃退してー!」と思うかもしれない。
しかしそんな時でもあなたが理解してあげなければいけないのは、ブルース・ウィルスが映画「シックスセンス」で自分が幽霊だと気づいていなかったのと同様に、彼らも自分がゾンビだとは気づいていないということだ。
ミーティングを礼儀正しく終えて、家に帰ってからあなたが資金調達先リストを管理しているスプレッドシートに「このVCはゾンビ」とアップデートしよう。
もしVCから「次のミーティングをしましょう」、と連絡が来たり「ピッチデックを送ってくれ」というリクエストが来たら、その時は追加の情報を与えたり時間を割く前に「あなたのファームは最近シリーズAに投資してないみたいだけれど、どれくらい新しい投資先に投資をすることにシリアスなのか」と質問をするのが適切だと思う。
ちなみに、シリーズAに投資してないことをあなたが聞いたことに対してそのVCがもし怒ってるような素振りを見せてきたら、それはゾンビのフラグだと思う。
あなたはVCに対して「デューデリジェンス」をする全ての権利を有しているのです。
※デューデリジェンス:投資家が投資をおこなう際、投資対象のスタートアップの財務状況やリスクを適正に把握するために行う調査のこと。
さあ、次に進みましょう。
実際にデューデリしてみる
前のポストでシリーズA投資をしているVCをリストアップしたけど、今回は「過去にはシリーズA投資をしていたけれど、過去6ヶ月またはそれ以上シリーズA投資をしていないVCのリスト」を作ってみました。
ソースはCrunchbaseで、以前はシリーズA投資に参加していたけれどここ6か月では参加していない投資家を含んでいます。エンジェル投資家を省くために、2012年1月1日時点で投資家協会に参加しており累計で2000万ドル以上投資したことのなるインベスターに絞っています。一番著名なインベスターを上に持ってくるために、累計投資額の大きい順にリストをソートしています。これらの投資会社の幾つかはレイトステージの投資で有名なので、これらの投資会社はあなたの最初の資金調達ラウンドには適さないかもしれないというだけであって、彼らがうまくやれていないということではない。(ので勘違いしないでね。)
投資家の皆さん、もしこのリストに誤って載ってしまっていたら、過去6ヶ月に行ったシリーズA投資について(詳細には入らないので、幾つかの単語レベルで良いので)教えて下さい。確認が出来次第このリストから削除し、シリーズA投資家リストに追加させていただきます。
———————ここまで———————-
まとめ
いかがだったでしょうか?日本では金融免許のある法人以外に、適格機関投資家等特例業務届出を提出している組織もベンチャーキャピタルを名乗っており(というかこっちの方がメジャー)、2700弱の組織が届出受理されていますのでこの中には当然、「ゾンビVC」も存在する可能性があります。
※適格機関投資家等特例業務届出を提出している組織の一覧は以下にて確認ができます。
金融庁「適格機関投資家等特例業者等」
http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/tokurei.html
「問題があると認められた届出業者リスト」には2015年9月末現在で814の団体がリストアップされています。こちらは本当に死んでいる、あるいは詐欺業者なども含まれている可能性があります。
「投資家ですよ」という自己申告を鵜呑みにせずに、本当に投資してくれる投資家と話をしたいですね。スタートアップ・ハローウィンネタをお伝えしました。
Big thank you to Danielle Morrill for allowing me to share this to Japanese entrepreneurs!
元記事:http://www.daniellemorrill.com/2013/04/zombie-vcs/
KORY
起業のファイナンス 増補改訂版 ベンチャーにとって一番大切なこと