渋谷スタートアップ向けシェアオフィスでNo.1の環境を誇る?!VOYAGE BOAT独占インタビュー

スウェーデン出身のスタートアップであるVirtusizeが日本支社を立ち上げることになり、実はVOYAGE GROUPさん(以下VOYAGE)の無料シェアオフィスBOATに入居出来ることになったという話を聞いてVirtusizeのパーティーの際に訪れてすごく興味を持ったので、BOATについてVOYAGE の青柳さんにお話を伺いました。
 
 

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— こういう素晴らしい環境を提供しているところがある、というのをスタートアップのみんなに知って欲しいなというのがあってぜひBOATについて教えて頂きたくお時間頂きました。本日は宜しくお願い致します。さて、それではさっそく、最初御社がBOATを会社の中でどういう立ち位置で立ち上げられたのかを教えて頂きたいのですが
 

青柳:BOATを開始したのが2010年になるので4年くらいやってます。当時は、いわゆるシェアオフィスとかコワーキングとかノマドとかが日本の中ではまだなかった時期でした。背景で言うと、VOYAGE の事業拡大と人員増加に伴ってオフィスの増床を行ったんですが、その時に余っているスペースがったんです。それを社員向けに何らかの施設を作るという案もあったんですけど、どうせだったらスタートアップが集まりやすいような環境を作って、盛り上げるというのを、なんていうんですかね経済的なベネフィットとかは抜きにしてやってみようかと思ったんです。そういうところがまず最初の入りでした。
 

— そういうところからスタートだったんですね。
 

青柳:そのコンセプトは今も変わっていないので、変わらず今もやり続けています。なのでBOATという名前になる前から私の方で設計して、どういう風に集めようかとか、どういう風に事業を入れて行こうかというのもやってたんですね。
 

今は相席とかもあるのでだいたい13〜16社が入居しています。目的は、良く聞かれるのですが他社さんが理解しやすい言葉で一言で言うと「CSR」です。変にタダで目的なくてって言うと、特に2010年のやり始めのときは色々勘ぐられるときがあったので(笑)もう分かりやすくCSRと言うようにしています。
 

入居された企業は賃料という固定費や光熱費などを下げられるだけではなく、実は、僕がVOYAGE VENTURESという投資事業を行う子会社の役員も兼務しているので、その視点も持って、メンターとして入居企業各社と毎週話をしています。一番多いのは事業をバリューアップしていくことの方法論について。例えばSEOのところとかSEMとかプロモーションとか採用とか…雑多なテーマがあると思うんですが、その中の1つにファイナンスもあります。我々が大きく何億を出資するということはないのでマイナー出資になってしまうのですが、中にはファイナンスを一部担当させて頂くこともあります。

 

あとは、もちろんこれは双方のWINが前提にはなるんですが、事業シナジーも考えています。例えば入居企業がアプリを作った時に、普通にプロモーションをリワードなりネットワークで出稿しようとしたら、インストール単価100円とかそういう世界になってしまいます。なので、それであればそれは社内出稿と同じ単価でいいよ、という形でプロモーションのコストをグッと下げ、バリューアップをしたりしています。そこも我々は利益をほとんど頂いていないのですが、そんなこともやってます。
 

— なるほど。CSRとしてってところでやってると思うんですが、社内的に「もっとガッツいていけよ」みたいなそういうプレッシャーってあったりしたんですか?
 

青柳:立上げ当初は当然ありましたね(笑)。「なんですか、これ?」みたいな。でもそんな過去と対比して今はどうなっているかというと、「すごくいいですね!」っていう声が社内からはすごく挙がってます。これはもう時間が実績ありきで解決していくものだなと思っています。「CSR」というのは分かりやすさの言葉として使っていますが、実態としてはやはり事業シナジーで、一緒にBOAT入居企業さんとプロダクトを作って、ある程度の事業の数字が伸びたり、社内の認知度が高まってきているので、そういう意味で社内ではBOATへの取り組みは非常にポジティブなものになっています。
 

あとは、定性的なものになってしまうんですが僕たちにとってのバリューと考えているのは、スタートアップの方が入居して、AJITO(社内バー)などでVOYAGEの事業スタッフとの接点が多くあるので、VOYAGEの事業責任者とかが交流することによって、新しいイノベーションが生まれたり、社内だけでやっているとなかなか得られないスタートアップの情報みたいなヴィヴィッドな情報が入ってくるのが、得難い情報だと思ってますので、そういうものが社内に残り始めているので結果、社内の理解は非常に高いです。
 

これは事業開発会社として、事業を開発して行こうという中で、自分たちだけだとどうしても限界があって、経営資源という意味で言うと、人・物・カネが有限な中で、オフィスだったりというものをどういう風にレバレッジをかけていくかというのがテーマだと思っています。なのでスタートアップの方が入ることでイノベーションのトリガーになることが出来ているのであれば継続して行った方がいいのではないかと思ってます。
 

— 可能な範囲でいいんですが、事業シナジーのあった取り組みと言うのは具体的にはどういった取り組みがあったんでしょうか?
 

青柳:例の一つは共同でアプリを出しているようなものもありますし、もう一つは彼らが出したアプリに対して我々の持っているアドテクのSDKを導入してもらってプロモーションのお手伝いをさせて頂いたりとか、WEBサービスにも弊社のFluctっていうサービスを導入して頂くとか、そういったものは我々としても面が広がったりとかプロモーションのところがあって。ただ、まあそれをオフィス1席で割返した時に、1席当たりいくらで計算して回収出来ているかというとそういうわけではないですが。
 

— 今は規模が小さくてもその企業が大きくなっていけばそこで回収出来る、レバレッジがかかるという考え方もありますよね。
 

青柳:そうですね。ただやはり事業シナジーをメインに置いてしまうとROIもどうなの?という話に社内もなってしまうので、僕は社内の中でのメッセージとしては定性的な、スタートアップの人の話を聞いてみようよ、とか僕はよく紹介して社内の人にランチいってきなよ飲みに行って来なよ、と言ってるんです。
 

そこでの苦労というのはスタートアップである意味固定費を抑えて給料を安く頑張っている世界観と、VOYAGEの中で給料をもらって勝負しているというのは違う力学、双方での難しさがあると思うので、それらを片面で理解するよりは、双方で理解する方がVOYAGEにとっても事業シナジー以上にスタートアップの理解にもなるし、事業の成り立ちにも理解が及ぶようになるのでそういうところの方が価値があるかなと最近は思っています。
 

— ちょっと話変わるんですけど、現在13〜16社が入っているということなんですけどこれはキャパシティー的にそれくらいがMAXってことなんでしょうか?どれくらいの周期で入れ替わるものなんでしょうか?
 

青柳:難しい質問なんですけれども、原則半年なんですよ。でもそのルールは原則でして(笑)たいがいはですね、アベレージ1年くらいいますね。
 

— 居心地がよくて(笑)
 

青柳:固定費がゼロなのでこれ以上に居心地がいいところはないと思うんですよ(笑)なので、僕からはたとえば調達がうまくいったという事であれば、次世代の、1年前の自分たちが困っていた時と同じようなスタートアップで、もっと固定費を下げてバリューアップしていきたいというところもあると思うので、AKBじゃないですけど「そろそろ・・・」ということでお話をしてたりはします。
 

— なるほど、確かに調達とかの大きなイベントがあると出やすいですよね。
 

青柳:逆に、調達が難しく、たとえば原則になってる6ヶ月目の段階が来た時に調達が出来てなくて、かつピボットしようとしている時に「ごめんなさい原則ルールで出てもらってもいいですか」というのは、事業としてみた時には出来るかもしれないですけど、やっぱりこの背景からスタートしているので、僕としてはなんとかバリューアップしてうまく卒業して欲しいなというのが強いので、そう言う場合はいますね(笑)。
 

— 確率論の問題ですしタイミングにもよると思うのですが、やっぱり6ヶ月で卒業、というのはなかなか難しいケースもおおいですよね。
 

青柳:そうです。なので入居応募についても私がメンターとして面談をさせて頂きます。一次面談として私の方で皆さんと話をして、私も投資事業の一担当役員ですので、バリューアップが出来るか、次のファイナンスで御協力が出来そうかどうかっていうのは見させて頂きます。オフィスだけ貸しているってなるとコミュニケーションの頻度も少なくなってしまいます。最初は全て行っていないところからスタートなのでどこまで介入していくべきなのかは悩んでいた時期もあったんですけれども、どちらかというと「第三者的に話を聞いてくれる経営者」みたいなのはいないのかな、と思っていたので。そこで半年の中でVOYAGEのアセットを使ってバリューアップ出来ればいいなと思って。週1で各社さんとメンター定例みたいな形で話をしています。
 

— それめちゃくちゃ大変ですよね、十数社あると。。。
 

青柳:実際には海外によく行ってる会社とかもあるので、そのうち10社くらいしかやってないんです。それこそVirtusizeさんとかは月1回程度なんですけど。週一、30分。。。
 

— CSRと言うにはかなりリソース使ってますよね(笑)
 

青柳:他の役員にもたまに言われるんですよ「青柳さんけっこうコレ時間とられてますよねー」って(笑)でも僕自身はすごく勉強させて頂いている方が多い部分もあって。そこで出てきた課題というのは、社内でも展開出来ることがあるんです。たとえば、VOYAGEのサイズだとしても、VOYAGEの会社の中で言えば十数個の事業とか十数社を一気に広げるというのは、なかなか出来ない世界だと思うので、そういうところをどういう風に見て行けばいいかというのを体感出来ているのは(自分自身として)幅は広がっているので。あとは情報感度が高い方が多いので。そう意味では負荷と言うよりはCSRというのは立て付けはそうなんですけど、僕としては楽しい一つというか。
 

— ケーススタディーやノウハウもどんどん青柳さんに溜まって行くと。
 

青柳:それを社内に還元すればVOYAGEにとっても良いものなので。

 

— 応募の時に青柳さんが面談されるということだったんですけども、応募はやはり多いんでしょうか?
 

数で言うと毎月15〜25件くらいあって、3月〜4月はもっと多いですね。
 

— フェーズ感としては立ち上げたばっかり、なのかプロダクトも出来て拡大中でいうとどいういった規模感の方が応募されるんでしょうか?

 

青柳:いわゆる1回目の事業のプロダクトを作っている最中です、という方が6割くらい。4割くらいは先月プロダクトをリリースしましたとか、今年リリースしましたとか。細かく言うと5%くらいは海外のスタートアップとかが多いです。Virtusizeみたいな。どうやってリーチしたかというと入居企業からの紹介なんですけどね。海外からBetweenさんが入ってた時もありましたし、そういう海外からのスタートアップが来るケースもあります。
 

— じゃあ20件くらい来てなかなか入れ替わりが無いと言う事は現状でもBOATに入るのはかなり狭き門、ということですね。

 

青柳:でも「空いてないないのに募集してんのかよ」っていう風には僕はしたくないですし、基本的には6ヶ月以上いる人たちが結果論多いんですが、それだとずっと滞留してしまう構造になってしまって、何目的になるのか分からなくなるので、毎月空いている状況は作っています。今月も1社は卒業して、もう1社はテーブルを合併して空きを作ります。6人テーブルだったんですけどU-noteって会社がオフィスを大きくするので。立上げの時からVOYAGEのインターンの子だったので、歴史的にも付き合いが長く貸してたんですが、そろそろいいんじゃないの?と。なのでテーブルが2つ空きます。面談が活性化しそうです。
 

— 今、たくさん応募が来て選定にも迷ってしまうと思うんですけど、どういう基準で入居スタートアップを選定していかれてるんでしょうか?
 

青柳:1つ僕の中で決めているのは、既にBOATの中に入っている企業さんと同業はNGっていうように基本はしてます。中で競合するとギクシャクするなっていうのがあって(笑)。まあ、あんまりケースとしてはないんですけどね。それ以外であればどんな事業ドメインでも私はOKだと思ってます。ただ、労働集約系、例えば代理店事業をやってます、とかそういう事業は足元のキャッシュも作りやすいビジネスだと思いますので、我々がバックアップする必要性がワンプロダクトでまず勝負したいっていう方々と比較すると少なく、ちょっと違う力学なので、お断りさせて頂くことがあります。
 

ワンプロダクトの中でどうなの、というのでいうとVOYAGEの雰囲気だったりとか、BOATの雰囲気っていうところで、来て頂いて面談させて頂いた時に、雰囲気どうですか?とお聞きしています。やっぱり相性がよい方の方が良いので、そこは投資の時も同じで、経営者の方とかチームの方とお話しして「いいな!」って思う方に来て頂くようにはしてますね。ただ、入って頂きたい企業さんも結講いっぱいいるので本当に悩ましいですね。
 

— 先ほど、BOATを作った時にオフィスのスペースが空いていたというお話があったと思いますが、御社も4〜5年たつと社員数が増えてこられてお困りなんじゃないでしょうか?
 

青柳:仰る通りなんです。まさに直面している課題でして。どうしようかなと。BOAT自体の取り組みは、こういう取り組みって継続して行くことにも意義がひとつあると思っているので何らかのソリューションは生みたいと思っているんですけど。。。切羽詰まったら僕もどうしようかなと、十数社にいきなり卒業してもらうのもちょっと。。。でももうちょっとは行けるので!(笑)
 

— 本体の方もあまりに狭くなると社員の方からの目も厳しくなっちゃいますよね
 

青柳:でもODAとかと一緒で、日本の国が経済的に良いから援助しましょう、とかそういう世界じゃないと思うんですよ。スタートアップとの協力とかシナジーで(VOYAGE本体が)一緒に大きくなる可能性もあるので、そういう意味で僕は継続していきたいなと思ってます。
 

— ちょっとお話が変わりまして、青柳さんが投資の方も担当されているということだったんですが、一部の会社さんは投資されていると思うんですが、それは単純に一緒に動く中でシナジーもありそうだし大きくなりそうなところだと投資に繋がるんでしょうか?

 

青柳:BOATの性質がもともと投資を目的にして始めているわけではないので、個人ルールではあるんですが「僕からは(投資については)言いださない」ということを決めてます。なんかこう、武士じゃないんですけど、「(言いたくても)言わん」と。言いたくても。それを言っちゃうと中立性も無くなっちゃうと思うんです。
 

よく言うんですけれども、同棲しているようなものだと思うんですよね。いきなり「結婚しましょう」「エンゲージメントを結びましょう」って言っても、出資の場合、実際お金を入れた後にどうなのかっていうのは多分双方で分からない部分があると思ってまして。逆にBOATのようにシェアオフィスという形で、例えば私がメンターとしてのアドバイスであったり、VOYAGEの雰囲気であったりを気に入ってくれて、その上でVOYAGEから出資を受けたいという話が出て来てくれるのは僕らとしてはすごく嬉しいので。むしろ僕らから「出資するよ」というアプローチをしてしまうと違う雰囲気になっちゃうのかなと思っているので。
 

— なるほど、それで青柳さんからは(投資の話は)言わない、と。まあ難しいところですけどメンターとかしていてそれだけ時間を使われているのであれば本当は全部投資をしていた方が大義名分というかコミットメントも上がるので個人的には投資した方がいいのかな、と思ったりもしますが。
 

青柳:普通そうですよね?!僕もそう思います(笑)流れと、僕のキャラクターもあるのか、代表の宇佐美であったり役員・社員もここに対する理解はあるので、他に社員が大きく絡んでリソースを消費しているわけでもなく、私と兼務スタッフの女性2名でやっていて、事業に関してはその2名は絡んでないので、僕だけのリソースを消費しているわけなので、それはまあ本業の方のいろいろ人事とか事業役員としてうまくやっていればみんな言わないかなと(笑)
 

— ぜひ青柳さんに見てもらえる、VOYAGEに雰囲気の合うスタートアップがどんどん入居希望が増えるといいですね!本日はありがとうございました。
 
 

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